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…チッチッ
チチチッ…
“…………ンッ”
窓から聞こえる鳥のコエで目が覚めた。
朝か……。
重たい目を開けて、ゆっくりと辺りを見渡す。
いつも変わらない自分の部屋が目に映っていく。
何故だかそのことに安堵した。
寝起きで、重い体をゆっくりと動かして、ベットから起き上がると、ダイニングに向かった。
「あら、おはよう、アオイ。」
リビングにいけば、コーヒー片手にテレビを見ている母の姿があった。
喋れないことをわかって無意識に話しかけてくるこの瞬間が、時々いやに思うときがある。
“……はよ。”
とりあえず出るはずのない声で返事をしてみるものの、母は、それを見て眉を下げて笑うだけ。
……顔にでてんだよ、ばばあ。
もう少し隠せよ。
そんな母を横目にキッチンに向かった。
キッチンに立って、朝ご飯を考えようとしたのはいいが、さっきのことで苛立って、胃がムカムカしていることに気づいた。
そのせいか、胃がいつも以上に受け付けなくて、今日の朝食は、カフェオレだけで済んでしまった。
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