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“出かけて来る”
真っ白なメモ帳に、荒っぽい字でそう書くと、ちぎってリビングの机の上に置いた。
それから、玄関に向かうと、綺麗に並べてある靴に足を乱暴に突っ込んだ。
そのせいもあって、なかなかスムーズにはけない、お気に入りのスニーカー。
そのことに苛立ちを感じながら、スニーカーを履き終わると玄関の扉を開けた。
風が、アオイの頬を霞めて、勢いよく家に入っていく。
4月だというのに、まだ肌寒いその風は、まるで外に出るなとでも警告しているようにだった。
開けたドアから見た外の景色は、午後7時だから、当たり前に真っ暗。
その中にゆっくりと足を踏み入れた。
“…綺麗。”
雲一つない美しい夜空。
新月は、暗闇の中、星を一掃美しく見せていた。
そうつぶやいても、アオイの口から出るのは呼吸する音だけ。
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