Blue

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  「まだ声が、戻らないんだな。」 カズマの言葉にアオイは頷いた。 「…えっと、…弟くん?」 横にいるカイを見て物珍しそうに聞いてきた。 いや、違うと、アオイは首を横に降る。 「アオイの友達のカイです。 よろしく。」 「あ、どうも。 アオイのバンド仲間だった、カズマです。」 嫌な顔一つせず、笑顔で自己紹介するカイに、つられてカズマも自己紹介した。 ………。 ふと、カズマの背中にアオイの目が止まった。 まだ、バンドやってるのか…? カズマの背中には、ギターケース。 アオイがまだバンドに入っていたころと同じもの。 “…なぁ、カズマ…ッ” …そうだ。 カズマに聞きたくても、言葉が出ない。 さっきも、やったのに… いつものカイとの会話で、アオイはそんなことも感覚的に忘れてしまっているようだ。 「…なぁ、カズマ。」 …え? まるで、カイが、アオイの声になったかのように、先程、アオイが、口にした言葉を声にした。 カズマも、急に呼び捨てで呼ばれて驚いている。 「まだ、バンドやってるのか?」 「え?あぁ。」 戸惑いながら、答えるカズマ。 「だって、アオイ。」 カイがアオイに笑った。 どうやら、カイはアオイの通訳をしてくれたらしい。  
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