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カズマは、一瞬、顔を歪めた。
だが、次の瞬間、ふっと笑った。
「…アオイらしいな。
普段は、無気力なのに、…一度やる気を出すと曲げない根性ってやつ?
いいのか、悪いのか…。」
苦笑いするカズマ。
それにつられて、アオイも笑ってしまった。
一瞬にして和らんだ空気。
カイも微笑む。
「アオイ、歌ってよ。
お前の歌が聞きたい。」
背中にしょったギターを差し出しながら、カズマが言った。
アオイは頷いた。
だが、アオイはカズマの差し出したギターは受け取らず、
“…カイ、あの赤いパーカーのやつからギター貸してもらってきて。”
ほかの人からギターを貸してもらうようにカイに言った。
アオイが指したのは、一人でアコースティックギターを弾きながら歌っている青年。
カイは素直に頷くと、彼に近づいていった。
「あの、ギターを少し貸して貰えませんか?」
少し離れた場所で、カイが彼にそう言っているのが聞こえた。
彼は、一瞬、戸惑っていたが、頷いて、カイに弾いていたギターを渡してくれた。
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