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「なにあれ?」
「歌?でも、歌声聞こえないよね?」
アオイの迫力のある姿に、通りゆく人々が、足を止める。
それが増え始めると、次第にアオイの前に人だかりが集まりはじめた。
歌を失っても、なお、アオイには人を引き付けるものがあるようで、
現に、先程、ギターを渡した少年も、アオイの姿にくぎづけになっている。
その光景をカズマは不思議そうに見ていた。
「…アオイはすごいな。」
つぶやくように、カイに言えば、
「当たり前でしょ。」
なんて、笑っていった。
その笑顔にアオイがカイに心を許した理由がわかったような気がして、カズマはふっと微笑んだ。
その後に、カイが付け加えたようにつぶやいた言葉など、カズマの耳には入らなかった。
『…大天使が選んだ、歌うたいだからね。』
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