Blue

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  “……どういう…意味だ?” アオイが出ない声で、問うと、アビーは、険しい顔になった。 知らないのか?そういってるのがその表情から伺えた。 ・・・・・・・。 しばらく、沈黙が二人の間に流れる。 「……ハァ…。」 一回、ため息をつくと、アビーは、意を決したように、真剣な顔に切り替わった。 「…天界にて、あなたは、二週間後、声帯の手術を受け、声を失うことになっておりました。 そして、その翌日自殺なさるはずでした。」 …カイの言った日と違う。 アビーが言った死の宣告は、あと二週間と一日。 どういうことなんだ? 「こう言えば、私共があなたの声を奪い命までも奪うように、聞こえるかもしれませんが、違います。 天界で下されたあなたの未来には、そう予想されていたからです。 天界で…大天使様が下された未来は、絶対。 ですが、少々の誤差なら付き物。 既に手術を受け、声を無くしてしまったなら、まだわかりましたが…、 その声、私共にしか聞こえないようになっています。 ……私共の誰かに手を加えられた。 あるいは…、私共と「アオイ。」 アビーの話しを遮るように、冷たい声が、アオイを呼んだ。 “……カイッ!” 笑っているが、目は、笑ってない。 表面上の作り笑い。 アオイは、背筋の凍るような感覚に襲われた。 「お前か、悪魔。」 「失礼だな。 アオイは、そっちへ行くことを望んでいないから手助けしてただけだ。」 アビーを、見下すようにカイが言う。 「それは、あなたの勝手な判断だろう? 彼に、未来の宣告は禁止されていたはず。」 「それは、あんたら天使であって、僕ら悪魔にはそんな禁止令はでていない。」 カイがアビーをからかうように笑った。  
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