39人が本棚に入れています
本棚に追加
・・・・・・?
突然、二人を切り裂くように凛とした声が聞こえた。
え?
瞬間、アオイの目の前に艶のある黒髪が映る。
いつの間に?
そんなことを思っていたら、アオイの手にあった温もりがないことに気がついた。
手元をよく見れば、カイに掴まれていた手が離れてしまっている。
「デスエンジェル…;」
「イオさま。」
震えているカイの声。
緊張の籠っているその声に、こいつはやばいとアオイも察した。
「悪魔にしては、いいやつだが、悪いな。
こちとて、大天使の命令で、歌うたいがかかってるんだ。」
「まさか、…あんたまで遣すとはな。」
どうしてだろう、なんだか空気が重く感じる。
「大天使が、どうも様子がおかしいというんでな。
さぁ、花森 葵。
お前の幸せを願え。
…何を、願う?」
そう言って、アオイの方に振りかえったイオと呼ばれた天使。
初めて、アオイの目に彼の顔が映った。
少し長い前髪の隙間から、切れ長い目が覗いた。すっと通った鼻筋に、形のいい柔らかそうな唇。肌は透き通るように白くてシミ一つない。
これほどまでかというほど整った顔がアオイの瞳に映った。
かっこいいとか、イケメンとか、そんな言葉より、美形、美人、そんな言葉がぴったりだ。
整いすぎたその顔に表情などなくて、その分、ものすごい迫力に圧倒される。
「あ……。」
「ダメだ!!アオイ!
言っちゃいけない。」
必死なカイの声が聞こえる。
でも、カイの言葉など、受け止められない。
その迫力に逆らうことなどアオイにはできなかった。
最初のコメントを投稿しよう!