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「アオイーー!!!!」
張り裂けるようなカイの叫び声を聞いた。
イオの影からカイが走り込んでくる。
すべては、まるでスローモーション。
アオイの目には、ゆっくりと時が流れていた。
何が起こったのだろう。
体が、重い。
喉が……………熱い。
手を伸ばすカイに、アオイも引かれるように手を伸ばす。
二人の手が触れた瞬間、アオイは強い力でカイに引っ張られた。
そして、あろうことかカイに抱き寄せられた。
優しい温もりがアオイの体を包む。
カイの細く、華奢な腕からは想像できないくらいの強い力。
「アオイ!」
泣いてるのか?
荒く整っていない息継ぎが耳元で聞こえた。
「なんだ、お前…。
お前が、持っているのか?」
無表情。なんのことを言っているのかわからないが、驚く様子もなく淡々とした口調で彼…いや、彼女?は言った。
「まぁ、いい。さぁ、解放しろ。」
そう言うと、アオイの体が光始めた。…いや、よく見れば、アオイを抱き締めているカイの体が光っている。
「………アオイ」
懐かしい声が、聞こえた。
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