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「いい歌だね。」
突然、声がした。
驚いてそっちを見れば、細身の少年が立っていた。
ぱっと見、年齢は15、6歳ぐらいだと思う。
“……誰?”
聞こえるはずのない歌に、感想を言ったその少年に驚きを隠せない。
反射的に、出ない声で問いてしまった。
「俺は、カイ。
悪魔だ。」
えっ?!
悪魔?
…こいつ、頭でも打ったんじゃないか?
自分が想像する悪魔とは、ほど遠いカイと名乗る少年にそう思った。
アオイじゃなくても、誰でもそう思うだろう。
「まぁ、悪魔だって言ってもそう簡単には信じないよな…。」
…それは…当たり前だろ。
普通は非現実的なことを急に言われたら信じれないだろ。
「信じたとしても、普通は逃げてると思うし。」
そう言って苦笑いする。
…あぁ、悪魔だもんな。
「そう…悪魔だから。」
…えっ?
思っていたことを言われて、驚いた。
「心、読めないとでも思った?
悪魔は、人の悲しみ、苦痛を好物にするから、人の弱いところ突かないといけない。
だから、そのくらいは出来なきゃいけないんだ。」
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