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「アオイの歌声はね、
. . . . .
人には聞こえない。
でも……、
僕らには、聞こえるんだ。」
“僕ら?”
「…そう、僕ら、悪魔や天使。
だから、完全にアオイの声が消えたわけじゃない。」
“……じゃあ、聞かせてよ。
俺自身にも聞かせてくれるようにしてくれよ。”
本来なら、そう自分がしゃべっているのが聞こえるはず。
試しに、久しぶりにしゃべってみた。
「…んー、それは、大天使様に相談しないと無理じゃないかな?」
普通に通じている言葉。
“えっ?”
「…アオイ、君は選ばれたんだ。
天界のためだけに捧げる歌、それに君の歌声が選ばれた。
だから、声を抜き取れたんだ。
そのうち天使がアオイを迎えに来る。
まぁ、簡単に言えば死ぬってことだけど。」
……えっ?
“俺、死ぬの?”
「うん。
まぁ、どのみち、アオイの命は、あと5年なんだけどね。」
くすっと笑った。
あまりに無邪気な笑顔とは反対に、残酷なことを軽々と言うところがやっぱり悪魔に思えた。
…生きれても、あと、5年?
まだ、22なんだけど。
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