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不思議な事に、先ほどまで暴れていた根は怯えるように細かにカサカサと幹を振動をさせるだけで、森全体が成り行きを見守るようかのように胎動は静まっている
先ほど2人の《鬼》を呑み込んだ、同じ森とは思えないほどだ
今、目の前にある奇妙な物体には、暴れ森も手が出せないとゆう風情だ
男は皮の手袋をはめたままの右手でソッとその得体の知れない何かの表面に触れた
危険は感じなかった
それどころか男は温もりさえ感じていた
そして手袋を外すと直に触れる…
葉の表面はヒヤリと心地よく温もりは中から出ているようだ
中を確かめようと、もう片方の手袋も外し両手で触れようと手を伸ばす
(《みのむし》なら中に何かいるはずだ)
そして変化がはじまった
さきほど男が触った所から葉がみるみるうちに枯れ落ちていく
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