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リリとルーンの出逢いは半年前。
ルーンはレジーとクラブで飲み明かした帰り道、道端で眠ってしまいそうになりながら一軒のコーヒーショップになだれ込んだ。
ルーンは立っているのがやっとなくらい酔っ払っていてソファを見付けるやいなや、身体を全てそこに預けた。
窓の外は知らぬ間に雪が降っていた。
それをぼんやり見つめていると近くで声がした。
「コーヒーはお酒の後飲むと良いの。その様子じゃどうか分からないけど。」
目をそちらにやるとティーンエイジャーらしき女の子がコーヒーカップを持って立っていた。
「君みたいな子がこんな時間に働いてちゃまずいだろ。」
呂律の回らない口で喋るルーンを彼女は怪訝そうな顔で見た。
「君みたいなってどういう意味?私がオリエンタルだから?あなた差別するの?」
「そうじゃない。君まだ未成年だろ?」
彼女は溜め息をついた。
「…23よ。来月24になるわ。」
その時の彼女こそリリだ。ルーンはその後何度もリリのコーヒーショップに立ち寄っては、少しずつリリとの距離を縮めていった。
その時の話を今でもたまに二人でする。
するとリリはいつもこう言う。
「最低な酔っ払いが来たと思ったけど、何故かあなたを可愛いなって思ったの。何でだろうね。」
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