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「ルーン、久し振りね。元気してた?」
「お陰様で。ところでどうしてわざわざここに来たんだ?」
ルーンは白々としていた。ジャスミンはリリと出逢う前に関係があった女だ。
その頃色々とトラブルを起こしてはルーンを困らせ、そして怒らせたのだった。
ルーンにとっては忌々しい過去でしかないジャスミンとの日々を思い出し、最低な気分に引きずり落とされたようだった。
「そんなに焦らないでよ。そろそろクローズでしょう?待ってるから、あそこのバーにでも行きましょ。」
ジャスミンは昔から一方的だった。
人の事などお構い無しで自分一人で事を進めようとする。
「待てよ。俺は君とバーになんか行かない。君が俺に電話をしてくる前から決まってた約束がある。だから行かない。話なら今、ここで、してくれ。」
ジャスミンは不適な笑みを浮かべた。
この表情はいつ見ても不快な気持ちにさせる。
「ふふ。デートね。じゃあ良いわここで。アタシ子供が出来たわ。きっとあなたの子。」
ルーンはジャスミンの不適な笑みを見つめたまま動けなくなった。
彼女はさっきの調子で一方的に話を続ける。
「あなたとセックスした時期とアタシのお腹の中のベイビーの周期とぴったり合うの。もう七ヶ月よ、ほらお腹もこんなになってる。でもあなたとアタシのベイビーだもん。きっと可愛い顔してる。楽しみね!また都合の良い日に連絡して。じゃあデート楽しんで頂戴。」
止めてくれよ。
あなたとアタシのベイビーだって?
何を言ってるんだよ。
「ジャスミン!」
「なぁに?」
「…少し話そう。待っててくれ。」
「あら。デートすっぽかして大丈夫なのかしら。」
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