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「捜査を始めてもらう前に、君に渡しておくものがある」  言うなり、サーシャは太一に向かって何かを投げる。突然のことに驚きながらも、何とかキャッチしたそれは想像していたよりもずっしりとした重量感を両手に伝えている。 「何だこれ……腕時計?」 「それを常時身に付けておけ。理由はすぐに分かる」  サーシャはそれ以上何も話そうとはせず、太一が行動にうつるのを待っているようだった。だがそれを腕に付けるのには若干の抵抗があった。淡い山吹色の光沢を放つそれは、どこぞのゲテモノ好きが収集するコレクションの一つと言われても何ら不自然が無い。  はっきり言って、一学生が身に付けるアクセサリーとしては主張が強すぎるのだ。
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