春風

2/7
前へ
/232ページ
次へ
中学に入学してやがて 2週間はたつだろうか。   私の周りにはたくさんの 友達がいた…みんな優しく 移動のときも一緒だった…     ある日の放課後知らない 先輩らしき人に声をかけられた。 一瞬無視しようとも考えたが 優しそうだったのでやめた。   「彼氏いる?」   先輩は私に聞いた。   「いや、いないです」   ややうつむき加減で私は ゆっくりとつぶやいた。   先輩はくしゃっと顔を 緩めて私に言った…   「携帯持ってる?」   この頃まだ中学1年で携帯を 持っているという子はあまり いなかった。でも私は入学祝い というもので親に買って もらっていた。ポケットから 新品の携帯を取り出し 先輩へこう言った。   「持っていま…す…」   「貸して」   持っていた携帯をさっと 先輩はとって何かをして いた…カチカチッとボタンを 押す音だけが聞こえた…   「はいッ。なら今日メールするけん!」   そう言って先輩は私の頭を ポンッと叩いて 友達の所へ走っていった…   このときの私はただ先輩に 夢中になってしまって この先に起こる事件に 気付けていなかった…
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7984人が本棚に入れています
本棚に追加