始まりは大雨の夜

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  講堂にはほとんどの生徒が既にそろっていた。 この学園ではめずらしく、朝礼にあるまじき緊迫とした空気が流れていた。 「・・・何でこんなに空気重いの・・・??」 唯がちょっと光のセーラーの裾を掴みながら小声で尋ねてくる。 自分もわからないと囁きながら、クラスの列に並んだ。 それから数分後、朝礼がはじまると同時に、学園の理事長がマイクの前に姿を現した。 普段姿を見せない理事長が現れたことにより、講堂はにわかにざわついた。 『静粛に』 マイク越しに響く理事長の声に、生徒は一瞬で口を閉じる。 『今日は大事な話があり、私がここに立っている。お客様も見えられている。落ち着きなさい 』 そして一呼吸置き、理事長がそのお客様をステージ袖から出るように呼んだ。 現れたのは、見たことの無い制服に身を包んだ端正な顔立ちの男性だった。  
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