34人が本棚に入れています
本棚に追加
柳先輩からはいつもの冷静さは何だか感じられず、眉間に皺が寄っていた。副部長みたいになっちゃうっすよ………って、あ、もしかして怯えてんのかな。そりゃそうか。今の俺、殺人鬼にしか見えねえよな。
「……せんぱい、…」
「…………っ…」
一歩近付いてみると、恐怖で強張った先輩の体が少し後退りした。
―――ちょっと傷付いた。むかつく。…てか俺、ぜってぇに気ぃ短くなったよな…。
「怖がんないでくださいよ……」
「……………」
一歩。
「……」
また一歩。
「…………」
さぁ……もう逃げられない。
柳先輩の背中が、後ろの樹にぶつかった。俺よりもガッシリした体が小刻みに震えている。いつのまにか開眼してるし。……ねぇ、ちょっと先輩。
「…彼氏にそういう態度取っていいと思ってんの?」
追い詰めた先輩の瞳をじっと見詰め、―――身体中の血が沸騰するくらい熱くなるのを俺は感じ、俺は先輩の首を掴んだ。
.
最初のコメントを投稿しよう!