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街路樹が揺れている。静かに窓を叩く雨の音が、お前のいないこの部屋を満たしている。
【ある雨の日】
窓の外を眺めていた彼が怠そうに動いた。熱いエスプレッソを飲みたくなったからだ。
「面倒だな…」
そんな事を一人ごちながら、彼はキッチンでエスプレッソ入れ、再び窓辺の席へと戻ってきた。
夕べ、大きなヤマを成功させた彼らは本日オフを楽しむはずだった。もちろん三人三様にだ。彼も街にでも繰り出して楽しく過ごそうと思っていたのだったが、今日は生憎の雨。絹糸のような銀髪がさも鬱陶しそうに揺れ、今一度窓の外を眺めた。
別に一人がイヤな訳ではない。
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