過去の忘れ物

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袴田は恭介に軽く頭を下げるとその場から去っていった。 袴田さん。 本当は言いたいことも聞きたいこともたくさんあった。 ひょいっ 呆然と立っていた奈緒の手から紙コップが取り上げられた。 「?」 「手。そんなに握ってたら冷たくなっちまう。」 「あ……。」 手を見ると水滴で濡れ白く冷えていた。 「……ありがとう。」
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