過去の忘れ物

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「ありがとう。恭介の手が冷たくなっちゃったね。」 「俺は大丈夫だよ。奈緒はいつも手冷たいからさ。」 「……ありがとう。」 それから映画が終わるまで2人の間に会話はなかった。 ただ恭介の大きな手が冷たさを分かち合うかのように奈緒の手をしっかりと握っていた。 あー。映画なんてわかんねぇ。 全然集中できなかった。 さっきの男……俺の勘だけどたぶん奈緒のことが好きだ。 わかんねぇけどなんかイラつくし奈緒の様子もおかしくて……何か隠してるみてぇな。
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