フシギな声

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太宰治の小説に「トカトントン」というのがある。 これは主人公が何かに夢中になれる仕事や生き甲斐を見付けて、 これから一生懸命生きていこうという気持ちになるたびに、 何処からか・・・ 「トカトントン・・・・」 という音が聞こえてきて、 その音を聞いた途端に一気に醒めて、 それまでのやる気が失せてしまうという話だ。 主人公は、それでもめげずに、 また、 別の生き甲斐を見付けて、 何かと前向きに生きようとするのだが、 いつも、 いいところまでいくと・・・ トカトントン・・・ とゆー音が聞こえてきて、 それまでの努力も崩されたり、 また、元の無気力な状態に戻されてしまう。 この小説を読んだ当時、 この、 トカトントンとゆー音は、 一体何処から聞こえてくるのか、 どんな音なのか、 とてもフシギに感じた。 そんな時、 私が夜、 星を見ながら道を歩いていると、 突然、夜空に吸い込まれていくよーに体が浮いて、 次の瞬間、 気が付くと私は、おおくま座の背に乗っていた。 すると前から南十字星がやってきて、 私に、よく蕎麦屋さんなどに置いてある、 丸い、星座占いのおみくじの機械を差し出した。 私が100円玉を入れようとすると、 南十字星が首を振り、 エリザベス女王陛下が彫られたコインを差し出した。 私は100円玉の代わりにそのコインを自分の星座、 射手座の役入り口に入れ、スイッチをひねった。 下から出てきた紫色のカプセルを開けると、 中から小さな、 羽のはえた、 金色の生き物が出てきた。 そしてそれは、 ふわっと飛び上がったと思ったら、 私の左の耳から、私の中に入り、消えた。 時々聞こえてくる・・・ ガンバレ、ガンバレ・・・ とゆー声は、 おそらく、あの、小さな生き物の声だと思う。
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