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お城の最上階にある広い出窓から広い庭を見下ろすと、石畳の上をブラシでせっせと磨く美しい姫の姿があった。
何時でもこうして魔女は姫を高見から見下ろしていた。
魔女に囚われた姫は魔女の命令に従う魔女のお人形。
今もそうして命令に従い魔女の視線に怯えながら広い庭を休むことなく一人掃除している。
そんな光景が魔女には安らぎの眺めだった。
美しく優しく可愛良い姫を自分の傍にいて、自分だけが彼女を独り占めしている。
…のに
井戸で歌を歌いながら水をくむ彼女の傍に隣国の王子が話しかけてきた。
始めは驚き戸惑っていた姫も、顔を朱く染めつつ王子と楽しそうに話している。
姫の笑顔
姫の歌声
姫の声
姫の表情
私だけのモノ な の に
嫌だ
私以外の他の誰かに見せないで
触れないで
笑いかけないで
止めて
止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ!!!
ふと姫がこちらの方をみた。
その瞳に魔女の怒る形相を映し、みるみる表情を強張らせた。
そんな姫の様子を問う王子に構うことなく姫は逃げるように城の中に駆けていった。
そう。
貴方は私だけを見ていればいいの
今の貴方は愚かだったわね
罰 を あ た え な く ちゃ
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