黒い林檎

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森の奥の小さな小人の小屋に、麗しの姫はいた。 幸いにも小人たちは仕事にでていて姫しか居なかったため、すこし手間が省けた。 魔女は、醜い老婆の姿に黒いマントで頭から全身をおおい、手には真っ赤な林檎の入ったカゴを下げた。 不信には思いつつも心優しい姫は老婆を小屋の中に入れ、疲れている様子から水を一杯差し出した。 「有り難う。ああ、ところで林檎を一ツいかがかな?」 「いえ、今は別に…」 「真っ赤に熟れていて、甘くてとても美味しいよ?」 老婆は姫に詰め寄り、一番赤い林檎をズイッと差し出した。 「一口食べればなんでも願いが叶うんだ!さぁ!一口でいいからお食べ!」 老婆の勢いに圧され、林檎を受けとってしまった。 姫は林檎に向かってそっと呟いた 「王子様が、私を迎えに来てくれますように…」 一瞬、マントに隠れた老婆の形相が鬼の様になったが、姫が一口林檎を口にした瞬間、歓喜の声をあげた。 「ハハハハハハハハハハァ♪本当に愚かだねぇ!王子がお前の所になんて来るはずがなかろうに!!!」 林檎が部屋の隅に転がった。 魔女は床にふす姫の身体を抱え上げ膝に乗せる。 「これで、お前は本当に私だけのものになった♪私だけの可愛い可愛い姫…もぅ誰にも盗られることはない!ずっとずぅっと私達一緒」 姫の髪を優しく優しく撫で、ぎゅっと強く抱きしめて、今は思いのままの動かぬ彼女を愛で、魔女は高笑いをした。 が… 直ぐにその顔に陰りがかかった 「あ い し て る…
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