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………… 僕は足早に指定した場所に向かった。 『自習室』 教室のドアに付いてるプレートが目に入ってきた。 ここは僕のお気に入りの場所。 あまり人が来ないから静かで落ち着くんだ。 ガラッ ドアを開けると窓際に座っている流の姿しかなかった。 開いた窓から暖かい風が入り流のキレイな髪を揺らしている。 …やっぱりカッコイイ。 ただ立ってるだけなのに何でそんなにカッコイイの? 思わず見惚れてしまっていると… 「未織、口開いてる」 「!!!???」 流は柔らかい笑顔を僕に向けた。 ?!! それだけで、もの凄い勢いで暴れ出す全身の熱。 まるで全身が心臓になったみたいに激しい鼓動を繰り返す。 「顔真っ赤」 「う゛っ!?うるさいよ!で?!いくら渡せばいいの?」 恥ずかしさでヤケになる僕。 「未織いくら持ってる?」 「ぇ…ちょっと待って」 財布の中を確認してなかったことに気づき慌てて財布を開ける。 フワッ… 「っ!?」 財布を覗いていると覚えのある香りが鼻を掠めた。 ……流の香水だ。 おそらく流も財布を覗いているのだろう。
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