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どうしよう…
よく聞こえなかった。
周りが騒いでる声が大きすぎて…って言うよりも自分の心臓の音の方がヤバイ。
呼吸する度にバクンバクンともの凄い音を立てる心臓。
何で…こんなに緊張しなきゃいけないの?!
僕たち兄弟なのに!!!
「未織」
「?!?!ぅあはぃっ」
いきなり流に名前を呼ばれ驚きで体が跳ね上がる。
何何何??!
どうしたらいいの?!
「だから貸して」
「ぅ??」
意味が分からず首を傾げると流は僕の前に手を差し出した。
「金貸して」
「…ぉ…金?」
「そう」
そうって…
えぇえぇえええ??!!
お金ですか━━━━━!!?
「財布忘れた」
表情を変えずに淡々と話す流の姿に急激な羞恥が襲う。
僕は何を期待していたんだろう…
1人で勝手にドキドキした自分が恥ずかしい。
「貸してって…い、今?」
「ダメ?」
「ダメじゃなくてっ…ここじゃないとこがぃぃ」
いくら兄弟でも体育館のド真ん中でお金の貸し借りは何か嫌だ。
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