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(・・・どうか俺の気持よ届いてくれ)
場所は断崖絶壁、下は底(そこ)が見えない大渓谷。
澄んだ青空の下、レントは落ちるか落ちないかのギリギリのところに立ち、祈っていた。
勿論相手は・・・
「竜よ、頼む、来てくれ~!!」
竜だ。
叫びすぎて少々枯れている声がこだまする。
だが、その声に答えてくれる竜はいない・・・・。
こんな状況が何ヶ月続も続いている。
勿論、最初は他にも何人か叫んでいる奴はいた。
話もせず、顔すらもレントは合わせようとはしなかったが、確かに他にも人はいたのだ。
その状況に変化が訪れたのは、みんなが竜選びを初めて一週間たった時だった。
一人の少年が一匹の竜を呼び寄せたのだ。
その竜は青い羽根を持つ、とても美しい竜だった。
「おぉ~~!!」
とみんなが言う中、レントはその少年を遠目で見る。
その少年は竜に乗って去っていった。
勿論、その後この場所に戻ってくることはなかった。
そんな少年を見て、レントを含めた数十名は、さらにやる気を出した。
今までよりも大きく、強い思いで叫んだ。
さらに一週間たって、また竜を呼び寄せた奴がいた。
勿論、そいつも竜と共に去っていった。
3週間、4週間と経ち、どんどんと人数は減っていった。
そして3週間前、ついにレントは一人になってしまった。
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