prologue

3/13
前へ
/32ページ
次へ
「こんだけ広いと迷う」 朝食を済まし、メイドに言われた通りに自分の父親の元に向かう。 埃一つ落ちていない廊下、曇り一つない窓ガラス。 舞夏がふと窓ガラスを見ると、少しだけ罅が入っているような気がして顔を近付けて見るが罅一つ入っていない。 それ所か庭の草木や空の青さまできれいに写る。 舞夏は気のせいかと窓から離れると同時に先程、舞夏がみた窓ガラスがパリンと音立てて割れる。 「ッ…!?」 ガラスが割れた破片が舞夏に襲いかかろうとした瞬間、足がフワリと浮き窓ガラスから遠ざかった。 「拓也っ!」 華奢な舞夏の体を抱いていたのは白いショートの髪に黒のメッシュを入れ、黒い燕尾服を着て、右の腰には細い剣が下がっている、誰もが認める美青年だった。 「怪我ない?」 青年は舞夏の体を下ろし、優しい声音で舞夏に聞く。 舞夏は一回だけ頷く。 その様子を見て、青年は安心したように笑った。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加