第3話

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「極度に発達した科学は魔術に等しい…か。 だが、彼の動きはあの装備だけによるものではない…」 ネロは晃平のディーンシステムでの凄まじい戦いぶりを見ながらつぶやいた。 ネロが言うように、日々の訓練と、一年前のエヴォル人との戦いが晃平の強さに繋がっている。 それが初の実戦であるにも関わらずディーンシステムの性能を最大限に引き出しているのだ。 不気味な化け物たち=下級のイーリスであるグールを掃討した晃平は、この化け物たちのリーダー格と思われる中級イーリス・ワーウルフに刃を向けた。 ワーウルフは、全身が赤褐色の体毛に覆われた狼のような魔物で、長く鋭い爪と、巨大な牙を持っている。 動きが鈍く、比較的簡単に倒せたグールたちとは違い、ワーウルフは目にも止まらぬ猛スピードで晃平に襲いかかってきた。 スラッシュダガーでワーウルフの爪を受け止める晃平だが、予想以上のパワーのせいでその場に倒れてしまった。 「出力だけならディーヴァに匹敵するはずなのに!」 躊躇する晃平に、不気味な唸り声をあげながら容赦なく攻撃を加えていくワーウルフ。 だが、ディーンシステムの頑丈な装甲が晃平の身を守り、ダメージはさほどではない。 晃平は不利な体勢ではあるが、反撃が可能であると見て、右腕の内側に取り付けられている、手のひら大の引き金のような物を思いっきり引いた。 すると、ディーンシステムの右拳が一瞬、凄まじい光を放った後、鈍く輝き出した。 「ディー・ナッコォォォッ!」 ディーヴァシステムの流れを組むディーンシステムには、ある程度、武器も受け継がれている。 晃平は、その一つであるフィニッシュチャージ『ディー・ナックル』を放ったのだ。 晃平の必殺の鉄拳はワーウルフの顔面に命中し、その鋭い牙を粉々に粉砕した。 「ウゴォ… ギャオオォーッ!」 悲鳴とも怒号とも分からない不気味な声をあげながら、ワーウルフは赤黒い血を流して悶えている。
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