第4話

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「ば…化け物… マジだったのかよ…!」 大牙は自分の目を疑った。 薄暗いがハッキリと分かる化け物の姿。 コウモリのような姿をした中級イーリス、ウォンバットが5体… 仲間たちの血をすすっているのが見えたのだった。 どうやら、この第六炭坑は、近辺で目覚めたイーリスたちの住処になっていたようだ。 次第に顔が青白くなってその場に倒れていくメンバーたち。 もはや誰も息をしていなかった。 「ひ…ひいぃぃっ!」 大牙は何とかウォンバットたちの間を縫って出口めがけて疾走する… ただ、本能のままに生を求めて。 だが、無我夢中で疾走するうちに大牙の脳裏に仲間たちとの日々がよぎる。 「これって、走馬灯…? 俺、死ぬのかよ? 嫌だ… 嫌だぁぁぁーっ!!」 炭坑から出た大牙は停めてあったバイクにまたがると、車体をウォンバットたちに向けた。 「どうせ死ぬなら、仲間の仇を討ってからだ!」 大牙はバイクのエンジンをかけ、物凄い勢いでウォンバットたちに特攻を仕掛ける。 だが、ウォンバットたちはヒラリと身をかわして、空中から大牙が乗るバイクに乗り移った。 「うわあぁっ!」 大牙の右まぶたの周辺が頬から額にかけて鋭い爪で引き裂かれた。 大牙は体勢を保てずバイクごと横転した。 倒れている大牙にジリジリと近寄るウォンバットたち。 大牙の血も遠慮なくすするつもりだ。 大牙は生きる事への執念さえ絶ちきられた絶望の中で叫んだ。 「ちくしょおおぉっ!!」 それと同時に、近くにいたネロが持つヘキサシールドが眩く輝き始めた。 「どうやら… 条件は揃ったようですね。 行け、聖爪バグナ。 お前が選びし者にその力を!」 ヘキサシールドに描かれた六芳星の一角から光が飛び出していく… 光は、痛々しく吠える大牙の右手に突き刺さるように飛んできて、鋭い金属製の三本の爪が付いた鉄甲を象った。 「何だよこれ…?」 大牙には右手に突如装着された鉄甲の意味は分からない… だがその時、光を追ってきたネロが大牙に向かって叫んだのだった。 「『変身』… その爪を天にかざして叫んでください!」 「な…何だよお前? くそ、何か分からないけど…変身っ!」 叫んだ大牙の体には、真紅に輝く鎧のような物が装着されていた。 「第2の戦士バグナ。 日本を去らなくて正解でした。」 つづく
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