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物語はネロ・イシュザークと、今回の事件の『はじまりの日』となる6年前まで遡る…
世界地図のどこを探しても見つからぬ、歴史より葬られし島…レーヴェル
この島に住む2人の戦士が、互いに武器を構え向き合っていた。
一人は長い金髪に髭をたくわえた中年の男。
もう一人は、美しい金髪と瞳を持つ優男であり、まるで邪な感情など一切持ち合わせていない、天使のような容姿を持つ少年。
「ネロ、手加減無用だ!
お前もこの『ハシル・イシュザーク』の息子ならば…
この試練を乗り越えよ!」
「だけど…父さん!」
中年の男はハシル、少年はネロ…
会話から察するに2人は親子である。
では、なぜこの2人は戦わねばならないのか…
「ネロよ、この刃をかわし俺を射るのだ。
それが伝承者としての宿命!」
ハシルは手に持った剣を構え、ネロに斬りかかる。
ネロは思わず目を閉じたが、無意識で手に持った弓の弦を引いていた。
「うわぁぁっ…
父さぁぁぁんっ!」
「そうだ、ネロ。
それでいい!」
ネロの放った矢はハシルの胸を貫通。
ハシルは持っていた剣を落とすと自らも倒れた。
足を震わせながら倒れたハシルに近づくネロ。
ハシルはもはや天に召される直前であった。
ハシルは力を振り絞ってネロに告げる。
「ネロ、よくやった…
宿命を背負う者は一子相伝でなければならない…
分かるな?」
ネロは、涙や鼻水でくしゃくしゃになっている顔で、声を震わせながら答えた。
「だからって…
おじいちゃんや母さんまで殺す必要があったの?
僕には…こんな宿命重すぎるよ!」
「いずれ分かる時が来る…
お前が『輝鋼士(きこうし)』として目覚め、戦う日が来れば…」
そう言い残し、ハシルは息を引き取った。
「父さん…
父さぁぁぁん!!」
そして6年の月日が流れた。
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