目隠し

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生まれた時から光が無いこの子、いつも部屋の角で耳を澄ましていた。 庭外からいつも聞こえてくる近所の子供達の声は、明るく楽しげな笑い声とはしゃぐ声。 目の見えないこの子には、外で遊ぶ子供達がとても羨ましかった。 盲目のこの子が、いつもの様に耳を澄ましていた暑い夏の日、一人の子供がこの子を遊びに誘った。 近所の子供達は盲目のこの子の事を気遣い、みんなで話し合いこの子を仲間に入れた。 代わる代わるこの子の目となり、色々な遊びをこの子に教えた。 盲目のこの子は、部屋隅で耳を澄ましていた頃と違い、毎日が新鮮でとても楽しい日々を過ごしていた。 夏も終わりに近づき、盲目のこの子が近所の子供達に溶け込みだした頃、微かに子供達の遊びが変わっていき、笑い声も徐々に変わっていった。
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