7人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
「―――アキ…!!」
間一髪のところで、果物ナイフと、暁が愛用しているシルバーの拳銃がかちあった。
「由利!…どうしちゃったの!?由利、やめてよ!!!」
千里がたまらず叫ぶが、その言葉に耳を貸そうとしない由利。
「―――きゃ!?」
あらぬ方向に首を曲げ、千里を見た。
『…あんた、うるさいよ…』
「―――…!」
目の前で繰り広げられるありえない光景に、千里はへなへなと膝をつき、吏優はあわててその体を支えた。
「…ちーちゃんっ!」
「あれ…あれ…何!?何が起きてるの!?」
―――とりあえず、千里をそとに出さないと…
ちらっと暁が千里に視線を移した瞬間
『手元がお留守だよ!暁の太陽(アカツキノヒカリ)!!』
ヒュっと果物ナイフが空を切り、
「…いっ…!」
暁のほほを軽くかすめた。
ぎゅるんと由利は暁に向き直り、にやりと笑う。
『あれぇ。はずしちゃったよ…フフフフ…』
「…いってぇなぁ…狙うなら、首元だろ?へたくそ。」
一筋垂れた血を拭い、暁は銃を構えた。
『だめだよ…あんたが撃てないの、知ってるよ?』
かくん、とまた首を垂れる由利。
ナイフについた血をぺろりとなめとって、微笑を浮かべた。
最初のコメントを投稿しよう!