3.

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「…あっ!」 由利をかばうようにたった暁の、左の太ももを、勢いよく矢が貫いた。 「…アキ!!!」 「…来るな!!!」 そんなすきをついて、逃げ去る由利の気配を感じながら、暁は矢の飛んできたほうへ銃を構えた。 相手の影を見据え、暁は矢を抜くべく手をかける。 「…っ…」 「やめておけ。」 それは、暁の前へおり立って、うすら笑いをうすら笑いを浮かべながらそう言った。 「…やめろ、だと?」 相手に向けた銃口が、痛みでがくがくと震える。 外から差し込む、わずかな明かりが、金の髪を映し出した。 ―――男。 端整な顔、青い目。 纏った黒衣がふわりと揺れた。 「…その矢はわが手以外が抜けば…。」 「…おっと、それ以上近づくな。その派手な頭、ぶちぬくぞ。」 思うようにならない右手に力を込めて狙いを男の眉間に定める。 「…エクソシスト…舐めてんじゃねぇぞっ。」 矢を握る手に力を込めた。 ズルリと言う嫌な感覚と、熱さにも似た痛み。 男は暁が投げ捨てた、矢を一瞥し、ふと鼻で笑った。 「そうか…お前が」 「何を…ブツブツ…っ」 ―――何 左足から、暁の体を這い上がってくる闇の気配。 まるで幾つもの手が、足をなで回しているような感覚に、暁は自分の足元へ銃口を向けた。 「…っ?!」 が、なにも、いない。 「だから、やめておけと言っただろう。」 男がそう呟いた。 また男に視線を戻した暁の視界は、白い闇に包まれていた。 「てめ…なに、を…っ」 「………アキッ……!!!」 倒れ込む暁に吏優と千里があわてて駆け寄ってくる。 男はその姿を見下ろしたまま。 「探したぞ、呪われた銃騎士よ…」 ポツリと呟いた。
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