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気がついたら、暁は一人
白い闇の中にたたずんでいた。
―――ここは…どこだ…?
あたりを見渡すが、ただ果てしなく白だけが続く空間。
そこに、ただ、一人。
右か左か
前か後ろか
どちらに進んで
何を目指せばいいのか、わからない。
「―――…」
暁はただ、何かに導かれるように、歩き出した。
どこかで、何かが自分を待っている。
ただその感情だけに任せて、歩いていると、不意に目の前に見上げるほどの大きな扉があわられた。
美しい装飾。
とってには、七色の宝石が、ちりばめられ、きらきらと輝いている。
―――…来テ…
暁の耳に届いた、消えそうな声は、その扉の向こうから聞こえてきていた。
暁が取っ手に手を伸ばすと、扉は音もなくゆっくりと開いた。
白い闇の部屋の真ん中に置かれた、白いベッド。
そこに、誰かが眠っている。
「……あんたは…」
端正な顔。
絹糸のような細く柔らかな髪。
長いまつげが揺れて、ゆっくりと瞳が開けられた。
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