第2話

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さらに激しく吐血し、引き裂かれた胸の傷からはおびただしい血が溢れ出る。 「体が重い… 7年ぶりに変身したせいなのか…?」 レイドは意識が朦朧とする中でそう思った。 勝負はついた… 万丈博士が開発したデックシステムは、その恐るべき性能を発揮し、過去、榊晃平のエックスタイプと互角の戦いを演じたレイドを倒したのだ。 新兵器開発室では、モニターを見ていた万丈博士がほくそ笑んでいる。 そして… 「これでデックシステムの性能は立証出来た。 国防軍のあらゆる兵器でもデックシステムに勝る物は今のところない。 我々を隅に追いやった国防軍に反旗を翻す時が来たのだ。 これより我々は、かねてから密かに準備してあったアジトに移る。 わしと九条しかまだ存在を知らないアジトにな。 皆、荷物をまとめあげるのだ。」 万丈博士の命令どおり、引っ越しの準備をしようとするペーシェンスのメンバーたち。 だが八神は、とある異変に気付く。 「十弥センパイがいない!?」 そして再び市街地。 虫の息となったレイドにとどめを刺そうと、一之瀬と四井が迫る… 「(くそ…死んでも人間体に戻ってはいけない…俺が『えびはら』に関わる人間だと知られては、親父さんや小太郎…八重ちゃんも危険な目に会うかも知れないからな…死ぬならばエヴォル人の姿で…)」 瀕死のレイドに向けて一之瀬の右拳が振り上げられた時だった。 「そこまでだ、一之瀬、四井!」 「何っ…!」 一之瀬と四井は、振り返って自分達を制止しようとする声の主の方を見た… そこに立っていたのは… 「貴様、十弥! なぜ邪魔をする!?」 四井が指摘したように、戦いを止めたのは、同じペーシェンスのメンバーである十弥刃であった。 「俺は、この半年間、ある密命を受けて新兵器開発室に潜り込んでいた。 千堂長官に不信を抱いている人物として、万丈博士をマークしていたんだ!」 「何ですって!? じゃあ、あなたは始めから我々の目的を阻止するために…!」 一之瀬の問いに、「これが答えだ」とばかりに『Ⅹ』と装飾されたバックルが付いたベルトを取り出す十弥。 そして… 「変身っ!」 そう叫んだ十弥の体には、鋭利な角の付いたマスクと、銀と青のツートンカラーの装甲が装着されていた。 つづく
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