第3話

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新兵器開発室… これまでの戦いをモニターで見ていたペーシェンスのメンバーと万丈博士。 十弥の、裏切りと思われる行為を目の当たりにしたメンバーに動揺が走る。 特に八神と二葉の二人は、これ以上にないくらいの狼狽ぶりであった。 「十弥センパイ… まさか…あなたがスパイだったなんて。」 「十弥くん…」 皆の困惑をよそに、万丈博士と九条の二人はどことなく冷静にモニターを見つめ、まず万丈博士が口を開いた。 「十弥め。 ここまでわしらを欺いていたとは。 誰の差し金じゃ? 千堂…いや、あやつはそこまで賢くはない。 だとすると、諜報部。 いや、十弥は、過去北陸支部から他支部に出向した記録はない。 とすると…」 万丈博士は何かに気付いた様子ではあるが、言葉を飲み込んだ。 九条はそんな万丈博士を尻目に、ただ一言静かにつぶやいた。 「屍となってここに戻る気か、十弥。 お前とは、少し話し合う必要があるようだ。」 そう言い残すと、一人部屋を後にし、どこかへ行ってしまった。 十弥が右腕に装備した刃『スラッシュエッジ』と一之瀬の拳に装着された『ファングクロー』が激しくぶつかり合う。 四井も一之瀬のフォローに入る機会を伺っているが、二人が密着しているため、なかなか手を出せないでいた。 傷つき、横たわるレイドは朦朧とする意識の中で十弥の戦いを見守っていたが… 「似ている。 構えや剣さばき… そして基本動作の全てが! まさか、あの『十弥』とかいう男は、あの人の!?」 レイドは、十弥の戦いを見て、かつて拳を交え、共に戦い、そして無二の親友となった人物を思い浮かべていた。 事の成り行きを見守るためになんとか持ち堪えていたレイドだったが、さすがに一之瀬たちから受けたダメージが大きく、リョウの姿に戻って気を失ってしまった。
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