第3話

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九条は、それまでの十弥とのいきさつをしばし回想した後、言った。 「四井、我々の新しいアジトは後から連絡する。 必ず十弥を倒し、デックシステムを回収しろ。 『S』…シークレットスキルの能力をインプットしていないナンバーⅩ・ディエスの完成度は80パーセントあまりだ。」 「ああ、分かったよ。 お前は一之瀬を連れて先に行ってな。 俺は、このド畜生を必ず倒す!」 四井は、両拳を合わせながら答えた。 九条たちが乗った車が走り去り、互いに構えをとる十弥と四井。 四井は、早々に決着をつけるべく『F』のキーを押し、構えた。 「エネルギー残量からすると、あと2発が限界か… だが、それでじゅうぶんだ。 ディー・ショルダーチャージ!」 右肩に眩い光を発生させながら、十弥に強烈なタックルを仕掛ける四井。 十弥は、左腕の装甲をスライドさせ、『S』のキーを押したが、確定キーを押していないためか、キーが点滅するだけであった。 九条の言う通り何も起こらないのだ。 十弥は、四井のフィニッシュチャージをまともに受け、全身をショートさせながら吹き飛んでしまった。 何度も地面を転がり、ギルパワードの装甲車の残骸に叩き付けられた十弥。 ダメージは相当なもののようだが、立てないほどではないようだ。 十弥は、まるで四井をからかうように手招きしてみせた。 比較的、短気な性格である四井はムッとしながら言う。 「てめぇ、強がってるんじゃねぇぞ! 次の攻撃でぶっ殺してやる!」 四井は今一度、フィニッシュチャージを繰り出すために構えをとった。 「ディー・ショルダーチャージ!」 再び突進してくる四井に対し、十弥は何の構えもとらずに引き寄せ、ギリギリの所で『S』のキーを押し、確定させた。 すると、十弥の肩の装甲が激しく発光し始めた。 「はあぁっ!!」 同じ技で四井に対し、カウンターアタックを繰り出す十弥。 四井は大きく弾き飛ばされ、装甲にはおびただしい数のヒビが入っていた。
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