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西暦2017年。
国防軍が新体制になってから2年の歳月が流れていた。
2年前、国防軍本部の長官に就任した千堂兆治長官は、前長官である榊大作にゆかりのある幹部たちを強引に転属、あるいは退任させて全く新しい組織を作り上げていた。
エヴォル人以上の侵略者が現れるはずもないという考えのもと、国防軍の主力は、ようやく量産にこぎ着けたディーンシステムであり、容認されていた新兵器の開発はすでにストップしていた。
定年で2年前に勇退している榊大作のもとには、新体制に不満を持つ者たちの訪問や電話相談が絶えない毎日が続いているが、榊大作にはどうすることも出来なかった…
そんな中、国防軍北陸支部から一人の若い隊員がやってきた。
襟足の長いちょっとだらしない髪型ではあるが、服装はしっかりしており、目付きは使命感に満ちた今時珍しい若者である。
その隊員は、本部の入口にいる守衛に恐る恐る推薦状を見せた。
「北陸支部から参りました十弥刃(とうやじん)三尉であります!」
「十弥三尉、話は聞いております。
どうぞ、お入りください!」
十弥刃。
北陸支部の中でも特に優秀な成績で入隊した隊員であり、特に特殊強化服による模擬戦では敵なしと言われていた。
推薦状の送り主は、新体制となった今は国防軍の中でも弱い立場にある『新兵器開発室』の室長である万丈零士博士であり、推薦理由はもちろん模擬戦での成績を考慮しての事だった。
長官室に挨拶に向かった十弥だったが、長官の千堂は全く期待もしていない新兵器開発室に人員が増えるのは面白くないようで、冷たくあしらうように、そのまま開発室に向かわせた。
「ちっ、何だよあの長官。
教官もほとんど見た事ないって言ってたしなあ…」
舌打ちしながら階段を降りていると、十弥の前に長髪の落ち着いた感じ…いや、やや冷血な目つきをした男が立ちふさがった。
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