第5話

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十弥の新兵器開発室への内偵調査は、長官の千堂や西城など、国防軍上層部のごく一部の人間にのみ知らされており、この日に正式に国防軍全体に十弥の存在が認知された。 それと同時に、万丈博士らの企みも知らされる事となり急遽、それに対応するチームが結成されることとなった。 国防軍の使命は、数々の脅威から日本を守る事であるが、救助活動や海外派遣なども行わなければならないため、国防軍の戦力全てを投入出来る訳ではないのだ。 現在、宇津木率いるフレイムナイツは任務で海外に派遣されていて、主力であったはずのディーン部隊は先の戦いで全滅し、再編の目処は立っていない。 当面は十弥のデックシステムに頼る以外に方法はなかった。 長官室にて、千堂長官から激励を受けているはずの十弥は… 「よもや、万丈博士たちに感化されてはいまいな? 貴様が、ペーシェンスとやら対峙した時におかしな行動をとれば… 即座に逮捕するかならな!」 千堂長官の言葉は全く十弥を信用していないような手厳しい物であった。 もっとも、千堂がもっと優れた人格を持ち合わせていたなら、万丈博士も造反をためらったであろう。 十弥は、長官室を出るとドアを軽く蹴飛ばしてから西城と待ち合わせている、整備工場へと向かった。 整備工場では、多くのスタッフが車両や強化服などの修理や整備を行っている。 その工場の片隅にある作業台の所で西城は、遮光グラスをかけて白衣を着た若い女性スタッフと一緒に十弥のデックシステムを調べていた。 十弥がやって来たのに気付いた西城は… 「刃…いや、十弥。 千堂長官との話はどうだった? ふっ…嫌味なオッサンだっただろう?」 「はい、噂どおりに… 西城少将はよくあんな人についていけますね。」 西城の言葉につられて十弥は遠慮なしに本音を漏らした。 それを聞いていた女性スタッフが遮光グラスを外しながら言った。 「はは… さすが甥っ子だけあって、そっくりだな!」 「?!…あなたは?」
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