第1話

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市街地からほど近い居酒屋『えびはら』。 ここには、自身も生体兵器のエヴォル人でありながら、7年前、同朋たちの野望を阻止した青年、リョウ=暁亮(あかつきりょう)が店主である海老原秀作の下で、店長として働いていた。 ニュースを見ながら夕方の開店準備をしていたリョウは、街で起こっている大惨事を知る事となる… ニュースに映っているのは、ギルパワードの3人の戦闘員によって次々と倒されていくディーンシステムだった。 「国防軍が子供扱い? 何なんだ、あいつらは?!」 テレビから目を離さずにいるリョウが気になった秀作は、ふと7年前のことを思い出しながら言った。 「リョウ君、君は確か以前も街が大変な事になるたびに飛び出して行ったな。 今回も…気になるのか?」 「いえ…俺には…」 うつむいて答えるリョウ。 だが、秀作は首を横に振りながら続ける。 「いつも言っていただろう。 君の素性や行動には一切口出ししないと。 それは今でも変わりない…」 リョウは、付けていたエプロンを外すと、秀作に一礼だけし、外に停めてあるバイクに乗って市街地に向かった。 そして… 「約束したんだ… あの人と。 あの人が留守にしている時は、この街は俺が守ると!」 市街地の近くにバイクを停めたリョウは、胸の前で腕を十字に構え、力を込めた。 リョウの体が僅かに肥大し、鱗のような赤紫の装甲でおおわれた、龍のような超人に姿を変える… そして、背中に出現させた翼を羽ばたかせ、市街地へと向かって飛び立った。 ギルパワードの3人の前にディーン部隊は全滅… 全員が容赦ない攻撃を受けて死亡していた。 新兵器開発室でそれをモニターしていた二葉が報告する。 「ディーン部隊全滅。 敵は…ほぼ無傷です。」 「フム…もう少し健闘してくれると思ったが…」 万丈博士は肩を震わせて笑いながら言い、ついに出撃命令を出そうとするが… 二葉がモニターの異変に気付いて叫んだ。 「待ってください、何者かが敵の前に立ちふさがりました… これは…データにあります…エヴォル人、バリーエヴォルです!」 「バリーエヴォルじゃと?!」 時は西暦2017年。 新たな戦いが始まる! つづく
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