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僕は――が好き。
「もやし」
どうして彼はそんな責めるような瞳で見るのだろうか。
「なんですか?」
笑顔は紳士の必需品。
例えそれが貼り付けたものだとしても、心とは裏腹だとしても、すぐさま装着できる仮面のように僕の顔には笑顔があった。
それが気に入らないのか、彼は舌打して踵を返した。
最初は話しかけてくること自体珍しかった彼だけど、黒の教団にやってきて時間が経つごとにそれは変化していった。だと言って喧嘩が減ったわけではない。寧ろその数は初めて会ったときに比べて増えているといってもいい。
アクマとの戦いは命のやり取り。その中でともに戦い芽生えるものは何だったのか。
周囲の人々は喧嘩をする度に呆れたように笑う。
「いつまでも子供だ」という輩もいるが、僕たちはそれでよかった。
“喧嘩”は僕らにとってのコミュニケーション。
それを一体何人の人が気づいていたのだろうか。
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