短編集

君のスイッチ

　そして何より、彼女の一番の問題は（それは大勢の人間にとっては肯定的要素なのだが）、自分の夢を曲げないこと。夢、つまり、ジャーナリスト的職種に就くこと。もしくは、生活の一部にジャーナリズムを組み込むことだ。それが彼女の最優先事項、何より優先されるべき物事。

　写真、文章、彼女は大学に通いながらも、それ等を独学で身に付けていった。大学に通うのは両親の意向だったらしく、四年間の援助を条件に仕方なしに飲んだらしい。が、勉学は二の次。所謂“ジャーナリズム”に関係の無い科目は彼女は頭から否定した。

　どんな秀才であれ、その中に自分の意にそぐわないモノ有らば、噛みつき、罵倒する。彼女は他人との交流能力が極端に欠けていたのだ。