君のスイッチ

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 だが、僕とは気が合った。いや、気が合ったとは言えないかもしれない。最初はそんな彼女を放っておけなくて、色々と口出しをしたのだ。やれ「風呂に入れ」だの、やれ「髪を切れ」だの、その度に彼女は僕に怒鳴ったものだ。「うるさいっ」と。  そんなやりとりを繰り返す内に、ますます僕は彼女が放っておけなくなってしまった。少なくとも、彼女は嘘は吐かない。自分が正しいと思った事しか口にしない。たとえ怒鳴られたって、当時、人間関係に疲れていた僕は、そんな彼女の反応に新鮮味を感じていた。異性とは別の、彼女の人間性に惹かれていた。  
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