君のスイッチ

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 「ちょっと、聴いてるの!? スイッチよ、判る? “ON”にするかどうかって事」  「聴いてるよ。つまり、君には押しボタンが見えている。それを押すか押さないか、そう言いたいんだろう?」  「そうよ、判ってるじゃない」 と彼女は満足げに頷き、カウンター席に置かれた焼き鳥を頬張る。僕はそんな彼女の顔をしげしげと眺める。  ……彼女は一年前から、フリーのジャーナリストとして活動をしていた。大学を卒業して直ぐだ。彼女が一体どうやって出版社とのコネを作ったのか、僕でさえ知らなかった。だが、今の彼女はレディース用のスーツを着込み、髪はこざっぱりにセットされ、カメラとペンで生計を立てている。懇意にしてくれる出版社が有るらしいが、詳しくは知らない。  
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