要の部屋

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「お待たせしました♪」 芽依は要の前へイルカのマグを置き、要の隣へと腰を下ろした。 「…ん、ありがとう」 要は眼鏡越しに笑み、 読んでいた英字新聞をバサッと横に放り投げる。 「みんな遅いですね」 「そうだね、…ん、美味しい」 「ハチミツを落としてるんです♪」 芽依もマグに口を付けたが、 チラチラと眼鏡姿の要へ視線を向けていた。 「…なに?まだ足りないの?」 意地悪そうな眼がマグの上から覗く。 「…なっ!? ちっ、違います!!」 既に芽依は耳まで真っ赤だ…。 要はマグを片手に持ったまま、 ソファーの上に片肘を乗せ、 芽依の方へと向き直る。 「クスッ、相変わらず可愛いね」 「か、からかわないで下さいっ」 プイッとそっぽを向く。 「もっとこっちおいでよ」 「…ヤです」 要はマグをテーブルへ置き、 芽依の腰に腕を回しながら彼女の手からマグを取り上げた。 「ちょっ、要さんっ!?」 「ん―?まだ時間あるでしょ?」 ズルズルと引き寄せられ、芽依の躰は要の腕の中へスッポリと収まった。 「…ダ、ダメですよ、みんなが来るんですからっ!!」 要の柔らかな髪が芽依の首筋を擽(クスグ)る。 「かなっ…!! 聞いてます!?」 「ん―?聞いてない」 耳元でクスクス笑われ、 芽依は背筋がゾクゾクした。 ――その時、 来客を知らせるインターホンが鳴り響く。 「…あっ、ホラ、要さん、誰か来ましたよ?」 「…俺、そいつを絞め殺しちゃうかも」 「なに言ってるんですか(笑)」  
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