要の部屋

7/24
7977人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
――トゥルルルル インターホンが来客を知らせる。 「…芽依ちゃん、出て?」 「えっ?あ、はい♪」 キッチンからパタパタと駆け寄り、受話器を取る。 実の所、芽依はこの作業が好きだった。 何だか要の信頼を受けている様に感じるから…。 「はい、もしもし、どちら様ですか?」 「……もしもしって」 「芽依ちゃんさん先輩…」 大樹と美奈子は、哀れむような恥ずかしいような心境に陥る。 要は片手を口元にあて忍び笑いを漏らしていた。 芽依は受話器を置き、楽しそうにロックを解除している。 「…敦達?」 「はい♪」 振り向いて目映(マバユ)い笑みを見せる。 ――俺をキュン死にさせる気か? 「…あっ、また!何で眼を逸らすんですかぁ!!」 片手で口元を覆って顔を背ける要に、抗議する。 「やっぱりお邪魔みたい❤」 「…だね(笑)」 美奈子とコッソリ囁きながら、 大樹は要の幸せそうな笑みに涙が出そうになっていた。 ――この幸せが、どうか続きます様に…。 ピンポーン♪ その音と共に芽依の膨らんだ頬が萎み、柔らかく笑み出す。 ――面白過ぎる…。 玄関へ走り去る芽依を眼にして要は吹き出した。  
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!