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――トゥルルルル
インターホンが来客を知らせる。
「…芽依ちゃん、出て?」
「えっ?あ、はい♪」
キッチンからパタパタと駆け寄り、受話器を取る。
実の所、芽依はこの作業が好きだった。
何だか要の信頼を受けている様に感じるから…。
「はい、もしもし、どちら様ですか?」
「……もしもしって」
「芽依ちゃんさん先輩…」
大樹と美奈子は、哀れむような恥ずかしいような心境に陥る。
要は片手を口元にあて忍び笑いを漏らしていた。
芽依は受話器を置き、楽しそうにロックを解除している。
「…敦達?」
「はい♪」
振り向いて目映(マバユ)い笑みを見せる。
――俺をキュン死にさせる気か?
「…あっ、また!何で眼を逸らすんですかぁ!!」
片手で口元を覆って顔を背ける要に、抗議する。
「やっぱりお邪魔みたい❤」
「…だね(笑)」
美奈子とコッソリ囁きながら、
大樹は要の幸せそうな笑みに涙が出そうになっていた。
――この幸せが、どうか続きます様に…。
ピンポーン♪
その音と共に芽依の膨らんだ頬が萎み、柔らかく笑み出す。
――面白過ぎる…。
玄関へ走り去る芽依を眼にして要は吹き出した。
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