はじまりの物語

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椎名 雄二は板チョコを持ち歩いている。 暇があってはいつも、板チョコをたくさんの小さな長方形に分けては、一つずつ丁寧に食べていた。 ただその単純な作業が好きで、だからいつも持ち歩いていた。 椎名は、本人は自覚はないが他の人とは少しずれているところがある。 椎名を一言で表すと「変人」以外思いつかないとみんな口を揃えて言っていた。 それ故に関わりを持つまいとひたすら避ける人も多かったが、かといって別に友達がいないわけでもない。 友達になる物好きも少しはいた。 だから椎名が平日の午前中から街をぶらぶらしている理由は学校に友達がいないからではなく、ただ学校が嫌いだったからだった。
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