電柱の下

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ある4人家族がいました。その家族には兄妹がおり、兄妹は毎日の日課として、父親が帰ってくるバス停まで迎えに行くというのがありました。父親がいつも帰ってくる時間は、だいたい夕方の5時半頃だったそうです。その兄妹はいつものように、5時を少し過ぎた頃位に行こうと思っていたのですが、母親が 「もうそろそろ暗くなるから、今日はやめておきなさい」 と言ったそうです。 しかし、妹が 「やだやだ!ぜったいにいく!!」 とだだをこねるので、母親は仕方なく2人を行かせる事にしました。 ところが妹が突然 「もう行きたい」 と言い出したのです。様子が少し変だなぁと思いつつ、兄は仕方なく行く事にしました。バス停まではほんの100㍍程度しかありませんでしたが、2人にとっては散歩に最適の距離でした。疲れすぎず、つまらなさすぎず。そんな道を歩いていると、あっという間にバス停に着いてしまいました。そのバス停は木でできており、所々腐っているくらい、とても古いバス停でした。そのバス停の隣には、これもまた古めかしい電柱がたっており、電気がついていて、虫がたかっていました。するとその電柱に向かって妹が 「こんにちは!!」 といきなり挨拶し始めたのです。妹は普段からちゃんと挨拶をするしっかりした子でした。しかし、今回だけは様子が変だった。なぜなら、電柱の下には誰もいないからです。 兄は 「えっ!?だれに言ったの?」と聞きました。すると 「そこにいるおばあちゃんだよ」 と電柱の下を指さしました。しかし、さっきも言ったとおり、そこには誰もいないのです。それを聞いた兄は怖くなり 「うわーーーーっ!!!」 と叫びながら、妹を1人残して家に走って帰ってしまったのです。 息子が帰って来た事にびっくりした母親は、なぜ1人で帰って来たのか事情を聞こうと思ったのですが、兄は泣きながら説明するので、何を言っているのか全くわかりませんでした。そこで母親はそのバス停に行く事にしました。しかし、兄はバス停に行かせるの止めました。母親はその手を振りほどき、バス停へ行きました。 それから数分後… 「ただいまー!!」 という楽しげな妹の声と両親の話声や戸を開ける音などがし、兄は玄関まで行きました。しかし、兄はまた大きな声で泣きじゃくりました。なぜなら、親子3人の後ろで手招きをするおばあちゃんがいたからです…
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