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「波の音」
波の音が木霊して、体中の血潮が騒ぐ
波の狭間から呼ぶのは、
君の声?
それとも僕自身?
波の音に誘われて、足の指先を暗闇に浸す
海中の砂が暖かくて、優しく引き込んでくれる
ただ声の主を求めて手を差し伸ばすと
僕の膝、腰、胸はどっぷりと闇に沈んで
吸収されてゆく
生暖かい舌が頬を舐め
真っ黒な闇の中で声が聴こえる
コポコポコポコポ…
ココヨ、ココ…私はココよ
このまま闇に呑まれて身を任せれば
君の側に行けるの?
楽になれるの?
綺麗な魚に還って、
君の海で泳ぎたい…。
君の海で溺れさせてよ
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