第一楽章

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時のは流れは、 アダージョ、ピウレント、メノモッソ。 空間の気配は、 マエストーソ、ミステリオーソ。 私の心は、 デリカート。 どうして、 私の心がこんなにキラキラとしているの? その理由を考えると、 胸が逸り、 波が強くなりました。 すると、水面が光のブーケに包まれて、 模糊としていきます。 さて、これは何なんでしょう? 知ってしまえば、 この静寂は崩れてしまうような気がします。 けれど、私はその好奇心に抗えないのです。その好奇心は、噴水の瀲艷たる水飛沫の様に留まることを知りません。 そして、この水面に浮かぶ星々のように満ちてきます。 だから、せめて今だけでも、この静寂に身を委ねて、浸るのです。 あぁ、この静けさが嵐を予感させます。 この先を思えば、怖くすらなってきます。 それでも、私は先に進むのです。 ほんと、何なのでしょうね。 心地良い静寂の中、 一陣の風がフワッと靡きました。 靡いた風は水面を掠めて、浮かぶ月を揺らしています。 鏡の煌めきは増してゆく一方です。 私は恋に落ちていました。
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